最初に決めるのは、何列掘るかではなく、掘ったいもをどこへ移すかです。作業前に、直射日光を避けられる仮置き場所、必要数の空コンテナ、運搬車、保管庫の空き、遮光状態を確認します。掘り取りだけが先行すると、畑や選別場の明るい場所にコンテナが滞留します。そこで、掘り取り、土落とし、外観確認、運搬、収納を一つの工程として扱い、次のロットを掘る条件を「前のロットが収納へ動いたこと」と定めます。収穫機の能率が高くても、運搬や入庫が追い付かなければ一回の掘り取り量を減らします。

農研機構の栽培技術マニュアルは、土壌が乾燥したころに収穫し、掘り取り後は長時間日光へ当てず、いもの表面が乾いたら早めに収納するよう示しています。「乾かす」は長時間の日光干しを意味しません。表面に湿りや泥の付着が残っていないかを確認する短い工程と捉え、乾いたロットを順次、遮光できる場所へ移します。待機時間が発生したら掘り続けず、収納場所を空ける、運搬回数を増やす、担当者を移すなど、滞留を解消してから再開します。

農林水産省によると、じゃがいもは長時間光に当たったり、傷が付いたりすると、天然毒素のソラニンやチャコニンが増えることがあります。一方、見えている緑色は光によって生じたクロロフィルの色で、毒素そのものの色ではありません。緑色の濃さが毒素濃度をそのまま表すわけでもなく、赤皮や紫皮の品種では色の変化が分かりにくい場合があります。このため、入庫時に緑色が見えないことを理由に、長時間明所に置いたロットを無条件で通常品へ戻すのは避けます。

現場では外観に加えて、ロットの履歴を判断材料にします。ほ場名、品種、掘り取り開始時刻、仮置き場所、収納時刻、天候、照明下での待機の有無をコンテナ単位または収穫単位で残します。長時間光に当たった可能性があるロット、緑化が見られるロット、傷や腐敗があるロットは健全品から分け、販売・加工の可否を出荷先の品質基準に沿って確認します。判断基準がない場合は、JA、契約先、地域の普及指導機関や保健所へ相談し、色だけを根拠に出荷可否を決めないことが重要です。

農林水産省は、じゃがいもを光が当たらず、涼しく、風通しの良い場所に保存するよう案内しています。弱い光でも長時間当たり続ければ毒素が増えることがあるため、直射日光だけでなく、窓からの差し込み光、開放した扉、常時点灯する照明、明るい選別台も点検対象です。保管庫を暗くしても、入庫待ちの通路や荷台が明るければ工程全体の対策にはなりません。収穫場所から保管場所まで歩き、光が当たる滞留点を作業前に洗い出します。

ただし、遮光のために濡れた塊茎を密閉したり、通気を止めたりしてはいけません。表面の状態を確認してから入庫し、容器や積み方は空気の流れを妨げないようにします。具体的な温湿度、貯蔵期間、キュアリングや低温管理の条件は、品種、青果・加工などの用途、施設仕様、契約先の基準によって異なります。一般向けの保存温度を業務用貯蔵へそのまま適用せず、地域の栽培指針と出荷先の条件を優先してください。暗さだけ、温度だけを単独で管理せず、遮光、通気、用途別条件を一組で確認します。

作業終了後は、緑化いもの個数だけでなく、光にさらされた可能性がある時間と場所を振り返ります。記録項目は、ロット名、掘り取り開始・終了時刻、表面確認時刻、収納時刻、仮置き場所、天候、運搬回数、使用した収穫機と主な設定、傷や腐敗の発生状況です。分単位の厳密な管理値を新しく作るより、どの工程でコンテナが止まったかを再現できる記録を優先します。保管庫の入口だけでなく、畑の端、運搬車の荷台、選別待ちの置き場もロット履歴に含めます。

待機が繰り返された場合は、翌日の収穫面積を小分けにする、空コンテナを先に配る、運搬専任者を置く、庫内の受け入れ区画を前日に空けるといった変更を行います。光に当たったロットを選別で救う発想ではなく、次のロットを光に当てない工程へ直すことが再発防止になります。作業開始前の打ち合わせでは、「どこへ置くか」「誰が運ぶか」「何を合図に掘り取りを止めるか」の三点を共有すると、収納能力を超えた収穫の続行を防ぎやすくなります。