サイレージ用トウモロコシの収穫適期は黄熟期が基本となる。留萌農業改良普及センターの栽培マニュアルでは、雌穂先端側の子実を割り、黄色いデンプン部分と白い乳汁部分の境界であるミルクラインが子実の約2分の1まで下がった状態を黄熟期の目安としている。この時期のおおよその指標は総体乾物率30%、子実乾物率50~55%である。ただし、これらは北海道の技術資料に示された目安であり、品種、播種日、地域、病害、倒伏、降霜などを無視して一律に当てはめる数値ではない。

確認は外周の一株だけで終えない。生育が平均的な場所をほ場内で複数選び、それぞれから雌穂を採り、先端側の子実断面を比べる。ほ場名、播種日、品種、確認日、ミルクライン、茎葉の枯れ上がり、倒伏や病害の有無を同じ行に記録する。ばらつきが大きいときは「平均的に見えた一本」で刈取可とせず、乾物率を測定するか、普及指導機関や飼料分析機関へ確認する。収穫予定日は確定日ではなく、熟度を再確認して区画の順番を入れ替えられる候補期間として作業者へ伝える。

黄熟期以降は子実表面が硬くなり、破砕が不十分だと未消化の子実が生じる可能性がある。一方、糊熟期の原料を強く破砕すると乳汁やデンプンを含む排汁が生じるおそれがあるため、熟期を確認せずに前年と同じ設定を使うべきではない。北海道の令和7年営農技術対策は、破砕処理の設定例として黄熟期を設定切断長19mm・ローラー間隔5mm、完熟期を19mm・3mmとしている。十勝農業改良普及センター資料は黄熟期を切断長14~19mm・ローラー幅3~5mmとしており、数値には資料上の幅がある。実機では取扱説明書、地域の指導資料、給与設計を優先する。

設定後は少量を試し刈りし、茎葉の切断面、実際の切断長、子実に割れや傷が入っているか、丸のままの子実が目立たないかを確認してから本収穫へ進む。設定表示だけを記録しても、刃の摩耗、ローラーの状態、収穫速度、原料の熟度によって実際の仕上がりは変わり得る。確認票には設定値と観察結果を併記し、設定変更後にも再び試料を見る。試料採取、詰まり除去、点検では機械を止め、エンジンを停止し、回転部が完全に止まってから取扱説明書に従って作業する。

良質な発酵には、刈取り後の原料から速やかに空気を追い出して気密性を確保する必要がある。農林水産省の国際水準GAP指導マニュアルは、刈取り後の速やかな詰め込み、脱気、密封と、細切り・踏圧による詰め込み密度の向上を示している。農研機構の研究でも、踏圧パッカーの利用によりトウモロコシサイレージの詰め込み密度が高まり、サイロ内の密度のばらつきが小さくなったことが報告されている。したがって、ハーベスターが速く刈れることと、適切な速度でサイロを満たせることは同じではない。

釧路農業改良普及センターは、原料草を厚さ30cm以下に広げ、同じ場所を二度踏圧することをポイントとしている。収穫前の打合せでは、運搬車一台分を広げて踏圧する時間、踏圧車両、誘導者、搬入を一時停止する合図を決める。搬入が踏圧を上回るなら、運搬車を増やすのではなく、刈取速度を落とすか区画面積を減らす。壁際は踏圧不足になりやすいが、転落・横転の危険もあるため、車両の運転範囲や積み上げ形状は施設条件と安全手順に従う。搬入通路を整備し、原料への土砂混入を避けることも詰め込み前の確認事項である。

一日の収穫量は、日没までに刈れる量ではなく、踏圧と密封まで完了できる量から逆算する。作業開始前に、被覆シート、端部や表面を押さえる資材、補修用品を点検し、密封担当者と開始予定時刻を決めておく。刈取りが予定より進んでも、サイロ側が遅れているなら追加区画へ入らない。農林水産省資料が示す「速やかな脱気・密封」を実行するには、収穫班の能率だけでなく、調製班が処理できる量を日量の上限とする必要がある。

やむを得ず詰め込みを中断するときは、露出面を空気に触れさせないようシートで保護する。具体的な添加剤の使用は、対象原料への適合、用量、作業者保護を製品表示や地域の指導機関に確認して決める。最終記録には、ほ場、熟度、乾物率を測った場合の値、機械設定、試し刈りの状態、搬入開始・終了時刻、密封終了時刻を残す。開封後の発酵品質や採食状況と照合すれば、翌年は単なる収穫日記ではなく、どの熟度と作業条件で調製したロットかを追跡できる。異臭、発熱、変色、かびがある飼料は外観だけで給与可否を決めず、獣医師、普及指導機関、飼料分析機関へ相談する。