農林水産省の病害虫発生予報第4号は、2026年夏にオオタバコガとシロイチモジヨトウの発生が東海、近畿など複数地域の一部で多くなると予想した。ただし、国の予報は都道府県の調査結果などを取りまとめた広域情報であり、自園の全区画に幼虫がいることを示すものではない。同省も地域の詳細について都道府県病害虫防除所の情報を参照するよう案内している。国の予報、自県の注意報・予報、自園の株上調査という順に範囲を狭め、防除の要否は最後に作物を見て判断する。

愛知県は7月3日、花き類・野菜類・ダイズのオオタバコガと、野菜類・花き類・ダイズのシロイチモジヨトウについて県内全域を対象とする注意報を発表した。根拠は複数地点のフェロモントラップで直近1か月の総誘殺数が平年より多い、またはやや多かったことなどである。トラップが捉えるのは雄成虫の動向で、卵や幼虫の株上密度そのものではない。誘殺数の増加は「散布決定」ではなく、「巡回区画と確認部位を増やす合図」として使うのが実務的だ。自県の情報が平年並みでも、前回見つけた区画、花蕾や幼果が増えた区画、施設開口部に近い列は巡回から外さない。

オオタバコガは、大きな穴が開いてからではなく、上部の生長点、新芽、花蕾、幼果とその付け根を一組として見る。千葉県の2026年防除指針では、卵は卵塊ではなく1~数個ずつ広い範囲に産み付けられ、生長点付近や上部の花蕾などが産卵場所になるとされる。ふ化後しばらくは生長点付近などにいるが、その後は果実や茎へ食入することが多い。トマトなどの果菜類では花房から幼果へ、キャベツやレタスでは外葉から結球部の入口へ視線を移し、小さな食害、虫糞、食入孔があれば周囲を丁寧に探す。幼虫の体色だけで即断せず、被害部位を含む写真を残す。

シロイチモジヨトウは、葉に卵塊を産み、ふ化直後の幼虫が集団で葉の表皮を残して食害するため、葉が白色から褐色に透けて見えることがある。したがって、通路から葉表だけを眺める巡回ではなく、選んだ株の葉裏まで返し、卵塊、透けた葉、まとまった小さな幼虫を探す。ねぎでは葉内、花きでは生長点や花蕾へ食入する場合もあるため、葉面に虫がいなくても新しい透過痕や傷があれば内部食害を疑う。愛知県の注意報は、分散前の幼虫集団や卵塊を見つけ次第捕殺するよう求めている。卵塊や集団幼虫を発見できる時期は、一度の処置で複数個体を減らしやすい確認段階である。

巡回記録は、害虫名を確定してから書くのではなく、観察した事実を先に残す。最低限、ほ場・施設名、区画または畝、確認日、作物と生育段階、卵・幼虫・食害を見つけた部位、発見株数、写真番号、その場で行った処置を記録する。「上部の花蕾に単独の卵らしきもの」「葉裏に毛で覆われた卵塊」「表皮を残した透けた食害」のように書けば、同定が未確定でも再巡回に使える。見つからなかった日も記録すると、前回と同じ株、同じ部位を見たか確認でき、担当者が替わっても調査条件をそろえやすい。

卵塊や集団幼虫は、地域の指導に従い可能な範囲で除去・捕殺し、発見株だけで終わらず周辺株の同じ高さ、同じ生育部位を続けて確認する。食入孔や大きな幼虫を見つけた場合は、すでに初期発見の段階を過ぎている可能性があるため、その区画を重点地点に格上げする。被害残渣には卵や幼虫が付着している可能性があるので畝間へ放置せず、地域で定められた方法で適切に処分する。雑草は両害虫の増殖源となり得るため、ほ場周辺も確認する。ただし、除草や残渣処分だけで株上の個体がいなくなるとは考えず、処置後も巡回を続ける。

愛知県の注意報では、オオタバコガは茎、花蕾、果実、結球部へ食入した幼虫や齢の進んだ幼虫に対して薬剤効果が著しく低くなり、シロイチモジヨトウも齢が進むと薬剤効果が低下するとされている。農薬を使用する場合は、発見した害虫らしき個体、作物名、生育・収穫段階を整理したうえで、自県の最新指導、農林水産省の農薬登録情報提供システム、手元の製品ラベルを照合する。登録作物、対象害虫、希釈倍数または使用量、使用方法、使用時期、収穫前日数、使用回数を守り、効きにくいからと自己判断で濃度や回数を増やさない。

愛知県はシロイチモジヨトウについて一部殺虫剤への感受性低下を確認しており、薬剤選択は指導機関へ相談し、同じ系統の連用を避けるよう注意している。施設では換気口、出入口、裾部などの開口部が防虫ネットで実際に覆われているか、破れや隙間がないかを点検する。ネットは成虫の侵入を抑える予防策であり、すでに施設内にある卵や幼虫を除去するものではない。補修後も作物の見回りを止めず、処置日、使用した対策、次回確認する区画を記録する。種類の判定や薬剤系統に迷う場合は、写真と採取位置を添えて病害虫防除所、普及指導機関、JAの営農指導員などへ相談する。